書評・教材紹介

世界に通用する内科学テキスト「Harrison’s Principles of Internal Medicine」

南江堂 洋書部

将来、海外で医学を学びたい、あるいは留学に挑戦したいと考える医学生や若手医師にとって、国際的に通用する医学の共通言語を理解することは欠かせません。

その意味で、Harrison’s Principles of Internal Medicine(「ハリソン内科学」原著)は、世界中で圧倒的な支持を集める内科学のバイブルとして、必読の一冊です。

臨床医学の実践に必要な知識が体系的に網羅されており、海外の臨床現場でもスムーズに適応するための「知の土台」となるでしょう。

書籍紹介

2025年7月に、最新第22版が刊行されました!

Harrison’s Principles of Internal Medicine, 22nd ed., in 2 vols.

著者 : J.Loscalzo, A.S.Fauci, D.L.Kasper, et al.(eds.)
出版社 : MCGRAW HILL EDUCATION, ASIA
ISBN : 978-1-265-97931-7

Harrisonをおすすめする理由

分厚いHarrisonを英語で読むのは決して楽なことではありません。
それでも、苦労して身につけた膨大な知識は、必ずや将来の臨床現場で力となるはずです。
そんな皆さんの背中を押してくれる、心強い推薦のことばをご紹介します。

東京女子医科大学 総合診療・総合内科学分野 教授
三重大学 名誉教授
竹村 洋典 先生

なぜ今、Harrisonなのか?最近では海外に行って医療を学ぶ日本人医師が減少しているという。かつては、海外の医療施設に長期間赴き、様々な国から集まった医師らを相手に医療で勝負を挑むツワモノ日本人医師が散見されていた。今でも発展途上国などの多くの医師は先進国の医療を学びに行っている。その結果、日本の医師が「井の中の蛙」状態になりかかっている可能性すらあるかもしれない。

海外の医師たちと臨床の場で議論をする際に、日本の教科書を引き合いに出しても勝ち目はない。況や、医師国家試験用の参考書では話にならない。世界の誰もが知っている教科書に書かれていれば相手も納得してくれる。その中でも「Harrisonに書いてあるから」の一言は非常に強い。Harrisonを知らない医師は世界でも少ない。しかも病態生理から説明するHarrisonだからこそ、その説得力は絶大である。

分厚いHarrisonを座右において、遠い世界の医療機関で活躍する自分を想像してほしい。たぶん夢がどんどんと膨らんでくるに違いない。そう、Harrison’s Principles of Internal Medicineはあなたの夢の入り口である。

杏林大学医学部 准教授
岸本 暢将 先生

毎日多忙をきわめた研修医生活。白衣のポケットにはWashington Manualを入れ、ナースステーションの脇の本棚にはHarrison’s Principles of Internal Medicineを置いていた。朝の回診後、決定した指示を出し、検査結果の確認と評価、そして翌日の指示の決定を何とか午後の早い時間までに終わらせる努力をした。その後、夕方の回診までの残った1時間が貴重で、研修医1年目のときは見学に来る学生と、2年目のときには1年目の研修医とHarrisonを広げた。とはいっても各論ではなく、疾患別に書かれている “Approach to the Patient with~” の記載を読む。なぜなら、ここには研修医時代にマスターしなければいけない“H&P(病歴聴取と身体診察)の肝”がすべて凝縮されているからである。青木眞先生の師匠であり感染症の“御大”喜舎場朝和先生の回診では、患者が生活する家の構造も含め、社会歴も詳しくプレゼンすることが必要であった。面倒と思わず、目が少し充血して黄疸症状のある不明熱の患者さんの病歴聴取に取り組んだ際のエピソード。家の風呂場はシャワーのみ、バスタブは屋外に移動し屋根の雨水受けとなっており、雨水は農作業後の手洗い場となっていた。“レプトスピラ症”の一発診断がここで出てきたのはびっくりした。原因となったのはネズミの尿で、言われてみればなるほど。Harrisonの“Approach to the Patient with an infectious disease”を読めば、詳しい社会歴を含めた環境曝露について細かく聴取するよう解説しているではないか。

インターネットで様々な情報を得ることが出来るようになっても、成書は基本中の基本。研修医のうちに読んで確認することをお勧めする。

さらにくわしく

さらに詳しく知りたい方は、南江堂の特設ページをご参照ください。
サンプルチャプターのダウンロードなどもできます。

First Aid for the USMLE Step 1, 2025 (35th ed.)
First Aid for the USMLE Step 2 CK, 11th ed.
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