USMLE・試験対策

「USMLE」とはなに?詳しく解説

山﨑悠里

USMLEとは

米国医師国家試験(United States Medical Licensing Examination)の略称です。米国で医師資格を取得するために合格する必要がある試験ですが、その門戸は米国・カナダの大学だけでなく、その他の国の大学の医学部在学生・卒業生1にも開かれています。

また、米国で臨床留学(研究留学の場合は不要)する場合には研修許可書(ECFMG Certificate)が必要です。ECFMG Certificateの取得申請のためには日本の医師国家試験に加え USMLE STEP1、STEP2CK、医療従事者向けの英語試験(OET)に合格しなければいけません。

つまりUSMLEは米国での臨床留学、米国で医師になるためには避けては通れない試験といえます。

OETとは?

Occupational English Testの略称です。医療従事者向けの英語試験で、現在廃止となっているSTEP2CSの代替試験です。OETはUSMLEとは独立した試験なのでいつでも受験が可能です。

OETは医療系に特化した出題内容となっており、そのなかで4つの英語の技能(Reading、 Listening、Speaking、Writing)が評価されます。

日本国内で受験可能で、東京/大阪で通年実施されています。コンピューター試験かペーパー試験かを選択可能です。受験回数に制限はないため、受かるまで何回でも挑戦できます。

USMLEの構成

基礎医学分野および臨床医学分野に関する知識や技能をみる試験など、大きく3段階で構成されています。各STEPの受験回数の上限は4回です。
コロナウイルス感染拡大の影響で、STEP2CSは2024年4月現在廃止となっています。

ポイント
  • USMLEはSTEP1、STEP2CK、STEP3の3段階で構成されている(2024年6月現在)
  • STEP1とSTEP2CKは順序関係なく受験可能。STEP3の受験要件にはSTEP1とSTEP2 CK合格が含まれる

STEP1:臨床に即した基礎医学中心の試験

  • マルチプルチョイス形式のコンピューターによる学科試験
  • 1ブロック(40問)×7ブロック=合計8時間程度(1時間休憩含む)

試験結果はPass/Failのみの判定となっているので、最短効率で合格を狙う試験となっています。

STEP2 CK:臨床医学の理解と応用に関する試験

  • マルチプルチョイス形式のコンピューターによる学科試験
  • 1ブロック(40問)×8ブロック=合計9時間程度(1時間休憩含む)

STEP1と異なりスコアがでるため、マッチングにおいてSTEP2CKのスコアが重視される傾向にあります。

STEP1、STEP2CK、OETに合格するとECFMG certificateという証書が発行され、米国で臨床留学することが出来るようになります。最初の試験(STEP1である必要はない)に合格した日から7年以内にECFMGを取得しなければ、7年以上前に受験した試験記録は失効します。

STEP3:総合的な医療知識と実践に関するCBT形式の試験

  • 試験は2日に分けて行われる。マルチプルチョイス形式の試験と、CCS(Computer-based Case Simulations)試験
  • 1日目:マルチプルチョイスの問題×6ブロック=合計7時間程度(休憩50分含む)
  • 2日目:マルチプルチョイスの問題×6ブロック+CCS13ケース=合計9時間程度(休憩45分含む)

STEP1/STEP2CKと同様にマルチプルチョイス形式の試験と、CCS(Computer-based Case Simulations)という試験で構成されています。
1日目は主に基礎的な医学・科学知識が問われます。2日目は医学知識を臨床に応用できる能力をみており、主に検査・診断・治療方法が問われます。

STEP3は米国での医師免許取得の要件の1つです。合格することで、州の医師免許試験の一部としての要件を満たすことができます。現地ではレジデンシー1年目に受験するのが一般的です。

こちらの記事ではUSMLEの申し込みの流れについて記しています。

USMLE申し込みの流れについて
USMLE申し込みの流れについて
  1. 1.2010年頃にECFMGより、2023年以降はWFME(World Federation for Medical Education)に認可された医学部の在学生・卒業生のみ受験可能(7年毎の認証が必要)になると発表されました。しかし2023年12月の発表で今後も全医学生(World Directory of Medical Schoolsに掲載されている大学)が受験できることが認められました。 ↩︎
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